光と陰の街   ヴェネチア6


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どこでもそうだが、ヴェネチアの路地もまた暗い。
両側に建つ建物は、たいてい4,5階建てになっているのに、路地の幅は2,3メートルしかないからだ。それが、運河沿いに出ると、とたんに明るくなる。運河の巾の分だけ建物が建っていないからだろう。そこへ光が射し込んでくる。
たいてい路地よりも、運河の方が広くつくられている。

中心部を逆S字型に流れる大運河では、まぶしいほどに光が反射しているし、大きな広場のあたりもまた明るい。広場のカフェテラスでは、射し込む陽を浴びながらゆっくり時間を過ごす人も多い。

日本人なら紫外線を気にするところと不思議に思うのですが、ここでは肌を射す光も貴重なのか、平気で肌をさらしている。むしろ積極的といっていい。路地から広場に出ると、開放感を感じるのは確かだけど。


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歩き回っていると、「狭い-広い」「暗い-明るい」が交互にやってくる。この違い、眼で感じるだけでなく肌でも感じられる。暗い路地からカンポと呼ばれる広場に出ると、肌まで少しゆるむような気がします。

そして建物の足下をくりぬいた、トンネルのような通路を歩くとき、「狭い-広い」「暗い-明るい」というコントラストがよりいっそう際立つのです。

くり抜かれたようなこうした通路もまた、平坦な土地のヴェネチアの街にとっては、人工的な「もう一つの地形」だといえるのかもしれません。

カフェの窓から広場を眺めた写真が一枚あります。路地から急に視界が開け、その広場に建つ教会のちょうど真向かいにあるカフェでした。そしてこの窓を、夕暮れ時に広場からも撮ってみました。(カンポ・バンディエラ・エ・モーロ)

日が暮れると今度は、窓から漏れるカフェの灯りがまぶしいほど明るく感じます。辺りの闇が深いせいでしょう。


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国際的な交易都市ヴェネチア共和国は18世紀末に崩壊するが、20世紀には国際的な観光都市として甦った。しかし、それがいま、静かに沈んで行くように見えました。

ちょっと気になるヴェネチアでした。   -FINE-   休憩に入ります。
■ 09.04.17 2.3.4枚目はGR2 他はGX100でした。 




「光と陰の街」といえば、ヴェネチアは映画祭でも有名でした。ヴェネチア国際映画祭です。昨年の金獅子賞はアメリカ映画「レスラー」が受賞したそうです。

いろいろな姿を持つヴェネチアを、これまでいろいろな映画が捉えていますが最後に、ヴェネチアを舞台とした映画を5本紹介しておきます。


「旅情」 イギリス 1955
監督:デイヴィッド・リーン
主演:キャサリン・ヘップバーン 
ロッサノ・ブラッツィ

「ベニスに死す」 イタリア フランス 1971
監督:ルキノ・ヴィスコンティ
主演:ダーク・ボガード
シルヴァーナ・マンガーノ
ビヨルン・アンデルセン

「夏の嵐」 イタリア 1954
監督:ルキノ・ヴィスコンティ
主演:アリダ・ヴァリ 
ファーリー・グレンジャー 

「大運河」 フランス イタリア 1957
監督:ロジェ・バデム
主演:フランソワーズ・アルヌール
クリスチャン・マルカン
ロベール・オッセン 

「赤い影」 イギリス イタリア 1983
監督:ニコラス・ローグ
主演:ジュリー・クリスティ
ドナルド・サザーランド 
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路地と運河と橋の街   ヴェネチア5




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ヴェネチアでも一番古いと言われるのがリアルトあたり。
そこで大運河を跨ぐリアルト橋では、両側に店が並んでいました。

橋を渡って西へ進むと市場が並ぶ地区があり、このあたりがヴェネチアの一番最初にできた一帯らしい。つまり一番高さの高い島だった。5世紀頃は満潮時にかすかに頭を出す、そんな程度の島だったらしい。

そのリアルトあたりでさえ、雨の降る日は沈みそうな気配を感じたものです。それが4月1日の「雨に沈む街」の写真でした。   

出かける前、ヴェネチアは運河の街だから、平坦で坂がないからつまらない。そう考えていたのですが、間違いでした。坂どころか、階段の道がある。おまけにその両側には店が並んでいる。まるで香港の街のようではないか、行ってはじめてそう思い、そして驚き、喜んだのでありました。

橋の階段を過ぎて、しばらく歩くとまた路地になる。トンネルのような建物の下をくぐり抜け、ずんずん歩き進んで行く。


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かつて行った香港も埋め立ての街だった。密集する建物が暗い路地をつくり出していた。

大陸から逃げてきた人達が集まってできた街だった。ヴェネチアと同じだ。香港は坂の街だったから手押し車も多かったし、交易で栄えた街という点でも同じだった。香港は今も国際金融都市である。まったく異なる街なのに、いくつもの共通点が見出せておもしろい。

といっても香港には、沈んでいくようなはかない美しさはなかったのですが。またヴェネチアには、生活者のむせ返るようなひといきれはなかったのであります。とはいえここは世界の観光地、ヨーロッパに限らず世界各地から集まってきたと思える観光客の、あわただしいざわめきは、たくさんありました。そこに自分も混ざっていたのです。雨の日は、さすがに人出が少なかったですけど。


そして階段の道はリアルトだけではなかった。いたるところで運河を渡る。そして、その橋のすべてで階段を登らなくてはならない。水面はフラットなのですが、運河を跨ぐ橋の一つ一つが、まるでヴェネチアの街の小さな地形をつくり出しているようでした。

登って下りて、ちょっと難儀な街でした。 ■ 09.04.14 はじめの一枚のみGX100 他はGR2 
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by bau-2 | 2009-04-14 12:02 | ・街路 | Comments(0)
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